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リーダーとして望まれるもの…チャーチル②

19歳になったある日、思いもよらない知らせが届きます。それは憧れの父 ランドルフが演説の最中に言葉に詰まってしまったという知らせ…。原因は脳に至る重い病で、間もなくチャーチルの前から、目標とすべき偉大な父が姿を消していきます。

イギリスは世界中に植民地を持つ大英帝国として栄華を極めていました。ところが19世紀の末から各地で植民地の独立運動が勃発。武力反乱もしばしば起きました。チャーチルはそうした反乱を抑えるべく軍人として、インド スーダンなど戦地を転々とし、最前線に立って敵の弾丸をよけない命知らずの活躍で頭角を現していきました。

戦線を転々とする生活の中、常に持ち歩き夢中で読んだ本があります。それは、父も愛読していた「ローマ帝国衰亡史」でした。大英帝国の行く末に危機感を持つチャーチルにとって本に記されたローマ帝国の衰退の歴史は他人事とは思えなかったのです。大英帝国を保持するため、自分はどうすればよいのか?

戦場から戻ったチャーチルは軍人をやめ、父と同じ…24歳で下院議員に立候補していきます。しかし、実績も知名度もないチャーチルは落選。知名度を上げるためにチャーチルが目をつけたのは南アフリカで起きていたボーア戦争でした。

イギリスが新たな植民地を獲得しようとオランダ系のボーア人に対して起こしたものですが、チャーチルは新聞社と契約を結び、何とか一旗揚げたいと野望に燃える若者でした。ところがチャーチルは現地で敵に捕らえられ捕虜になってしまいます。

3週間が過ぎた頃チャーチルは仲間と脱獄を試みますが、監視の目を盗んで脱獄できたのはチャーチルだけ…。敵地の中で、たった一人の逃亡が始まります。チャーチルは、ひそかに列車に乗り込み、目指としたのは500キロ先のポルトガル領モザンビーク。そこまで行けば助かるはずと思ったのです。

脱走して、間もなくチャーチルには追っ手がかかり懸賞金も懸けられました。このまま駅に行っては危ない。チャーチルは 思い切って列車から飛び降りました。脱走から丸2日ろくに眠れず、何も食べることはできませんでした。いちかばちか一軒の家のドアを叩くと、幸運にも、そこは現地に帰化した元イギリス人の家でした。おかげで、捕虜の身から脱獄したチャーチルは、なんとか単身でイギリスに生還していくのです。

無事生還したチャーチルをマスコミはこぞって英雄として取り上げました。図らずも抜群に知名度を上げたチャーチルは選挙に立候補し念願の初当選を果たしていきます。まだ若きチャーチル・・・25歳のことでした。

イギリス国民に「ウイニー」という愛称で親しまれたチャーチル。死後、半世紀以上が過ぎた今でも彼を主人公にしたドラマや映画が作られています。2017年にイギリスで制作された映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」は、数々の賞を受賞し、記憶にも新しいところです。

実は、まだ私はこの映画を観ていないのですが、是非観たいと思っています。余談ですが、この映画の主役を見事に演じきったゲイリー・オールドマンは、映画『レオン』で見事に悪役を演じていた人物で、このチャーチルの映画でも、アカデミー賞他の主演男優賞を総なめする程の演技力を発揮しています。

英雄として初当選を果たしたチャーチルでしたが、65歳で首相に就任するまでには、何度も失敗をおかし、政治生命を失いかねない挫折も経験していました・・・(つづく)

ところで、ここのところ暗号問題が出題できていませんが、次回では出題する予定ですので、是非・・・おたのしみに・・・

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