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暗号解読2 量子コンピューターで変わる世界

暗号が生まれる背景には、特定の人以外には知られたくないという当然の思いがあります。古代から暗号があった背景には、敵味方の違いから、如何に敵を欺いて自分が勝利を手にしていくかという大きな問題が、早くからあったのかという事に他なりません。特に敵味方が入り交じった状況下では、この暗号が役に立ったことでしょう。多くの人は今も、その暗号に頼る部分が多いし、暗号を楽しむ人もかなり多いと思っています。前者のそれは、パスワードと言われるもので身を守るために用いられ、後者は、パズルを通して自分の知能の限界に挑んできたはず。前者と後者は、勿論表裏一体で、隠そうとする人と、謎を解こうとする人の闘いの場となってきたのです。

これまでも、このブログで、いくつかの暗号解読問題を出してきましたが、色々なパターンを知ることで、そうまでして解読不能な物を作る必要があったんだなと、その努力の凄さが良く分かります。驚異の成果は、第2回目のブログで触れたように、最強と言われたエニグマに挑んで行くなかで、コンピューターの前身とも言われるものが産み出されてきた事・・・、その貢献度は相当なものです。

つい先日6月10日放送のサイエンスZEROで、こんな話が取り上げられていました。【量子コンピューターが、インターネットで暗号化された情報を無効にしてしまう時がやってくる】というお話。

インターネット上の情報は、「暗号化」によって第三者には解読できないよう加工され、安全が保たれています。インターネットの環境でサイトが暗号化されているかどうかは、URLの左側にある『鍵マーク』の有無を確認するだけで分かるようになっています。

現在の暗号は、「巨大な数字の素因数分解」という600桁にも及ぶ問題設定で、スーパーコンピューターでも簡単には解けないそうですが、量子コンピューターの開発が加速してくると、一度に膨大な計算ができる事になり、その安全が脅かされるというのです。今のところ、まだ赤ん坊レベルの50量子ビットのコンピューターしか作られていないそうですが、この数年で飛躍的に技術が進んでいるため、驚異になるのは時間の問題とか。その為、研究者たちは、新たな暗号の開発に乗り出し、今、その主流として注目を集めているのが「格子問題」という新暗号。

『格子問題』、『格子暗号』と呼ばれる暗号は、規則的な格子上の世界で、いくつかのベクトルを元に原点に一番近い点を見つけ出すというものだそうです。例えば、2次元なら、ベクトルは、2つだけれど3次元にしていくと3つのベクトルが登場し、それが今は、800から1000次元の世界に突入しているとのこと。次元を大きくすれば問題は難しくできますが、そうなると処理するための時間や機能まで莫大になってしまうため、これくらいの次元が良いのではないかというのです。

そもそも、桁数の多い素因数分解は解くのが難しいという事から現在の暗号の主流になっていますが、その難しさに比べ、「桁数の多い素因数をかけ算するのは簡単」という点も大切な訳で、だからこそインターネット上で使用することができていたのです。

今提案されている新暗号は、インターネットで公開されており、その安全性がみんなで検証されているそうです。番組の中では【ジオファントス】という新暗号がサンプルとして紹介されていましたが、【作る側】と【破る事を検証する側】が協力関係の中で開発されているという状況、面白いですよね。

※パスワードの保護を解除しました。前回出題の暗号問題回答は、次のブログに掲載しています。

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