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がん免疫療法とは? – 「国民病」に立ち向かう最新アプローチ

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がん免疫療法

がん細胞のイメージ
今までの「がん」は外部から治療することが中心でした(外科手術、放射線治療、抗がん剤投与)。これらは「がん三大治療」と呼ばれてきましたが、最近では”第四の治療”が注目を集めています。それが「がん免疫療法」です。今回は、がんという身近な病気に対する、ライフサイエンス分野からの最新アプローチについてご紹介いたします。

がん治療研究の最前線はライフサイエンス分野にあり

がんは日本においての死因第1位であり、4人に1人はがんで亡くなっています。まさにがんは日本人の国民病なのです。患者にとって、がん治療は多くの苦痛を伴います。抗がん剤治療では脱毛や疲労感が伴い、放射線治療では定期的に病院へ通う必要が生じたりと、患者にとって精神的負担や時間的拘束を強いてしまいます。この苦痛を解消する手段としても注目されているのが「がん免疫療法」なのです。

がん免疫療法とは?

普段からヒトの体内ではがん細胞が5千~1万個発生しています。しかし、ほとんどのがん細胞は免疫機能により増殖が抑制され、排除されるため病気としてのがんを発症しません。しかし免疫機能はいつも同じ状態ではなく、弱まったり強まったりしています。また、最新の研究では、がん細胞が免疫機能の働きを抑制することも明らかになっており、このことががん細胞増殖の一因として知られています。 がん免疫療法は、人間が本来持っている免疫力を回復させることによりがんを治療する方法です。しかし、いくら免疫力を高めてもがん細胞が免疫細胞の働きを抑制しては、その効果が期待できません。そこで最近では「免疫チェックポイント阻害剤」により、がん細胞を攻撃する免疫細胞の働きを活性化させる臨床応用が進められています。現在は研究段階にあるがん免疫治療をより実用的に発展させるために、近年では「マルチオミクス解析」や「免疫解析」により体内の免疫細胞機能を解析する試みがなされています。

がん治療 - 日本の機器メーカーが踏み出した一歩とは?

アメリカの科学誌「サイエンス」は、がん免疫療法を身体の免疫システムを利用した魅力的な治療法であると発表し、注目されています。がん免疫療法は自分自身の持っている免疫能力を利用して、がん治療を行うので、病気発症の早い段階から治療を行うことができます。また他のがん治療に比べて副作用が少ないので、がん患者を苦痛との闘いから開放できるというメリットがあります。 今年の1月には島津製作所が、米国国立がん研究所と「がん光免疫療法」に関する共同開発を行うと発表しました。この治療法の安全性や治療効果を測定するための計測機器の開発を共同で行うと発表し注目を集めています。 ライフサイエンス分野から発展した様々な治療法が今後も確立されることでがんに悩む人々への救いの手となるでしょう。

参考記事

・メタボロミクス解析の手法と、代謝物からわかること。

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