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モデル生物とは? – ライフサイエンスを推し進める強い味方

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古典的なモデル生物、エンドウ豆
生物の教科書でよく出てくる「メンデルの法則」。なぜメンデルは遺伝現象を解明するために、エンドウ豆を用いたのか? 同様に、なぜ発生学の実験ではウニが使われるのか?なぜ神経に関する実験ではヤリイカが使われるのか?  これら実験に使われる生物を「モデル生物」と言います。今回は、モデル生物の「なぜ?」について解き明かしてみたいと思います。

モデル生物とは?

生物は、その姿・形、持っている能力など多種多様ですが、共通の祖先に由来するよく似た遺伝子を持っています。 つまり、細菌のような原核生物からヒトも含めた真核生物まで、生物全般で似た生命現象を持っているのです。その為、モデルとなる生物を用いて実験を行うことは、ヒトの生命現象を解明することにつながります。 ヒトそのもので実験すれば、一番いいのですが、それは倫理面の問題でできないため、ヒトの代替として、モデル生物を用いる手法が確立されたのです。

よいモデル生物の条件

モデル生物は何でも良いのか?というとそうではありません。よいモデル生物の条件とは、飼育・培養が簡単で、研究対象の現象が容易に観察出来ることです。冒頭で紹介した「メンデルがなぜエンドウ豆を遺伝現象の解明の為に使ったのか?」ですが、エンドウ豆は栽培が簡単で、世代交代が早く、純系が得られ、対立形質(丸とシワ)がはっきりしているなど、遺伝を研究するには適していたのです。また、同一のモデル生物を多くの研究者が用いることで、知見が集中的に統合され、研究の効率化に繋がります。

「モデル生物」最前線

最近の研究では、モデル生物やモデル動物とヒトとを比べながら解析していく手法は当たり前になっています。また迅速かつ低コストでゲノムの精密な解析が出来るようになった今、新たな薬の開発や「どうやったら健康で長生きが出来るのか?」といったテーマの研究に広く使われています。その先の研究領域はゲノム編集やダイレクトリプログラミング技術などを駆使した動物のデザインに行きつきます。身近な例でいうと再生医療です。このテーマには安全性の確認や人為的に新しい個体をデザインするという倫理面での議論の余地が残されているので、これらを解決するために、先ほど挙げたようなモデル生物の役割が期待されています。

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