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腸内フローラを改善するプロバイオティクス 研究の実務ってどんなもの?

テクノロジー

プロバイオティクスライフサイエンス腸内フローラ

プロバイオティクスの典型例、ヨーグルト
健康食への注目が高まり、「腸内フローラの改善」への関心が一般にも高まりつつあります。今回は、ヨーグルトなどの健康食品でもおなじみのキーワードである「プロバイオティクス」の概念、および研究の実務についてご紹介致します。

腸内フローラを改善する「プロバイオティクス」

「生きたまま腸に届ける」という有名なキャッチフレーズは、誰もが耳にしたことがあるでしょう。プロバイオティクスはこのキャッチフレーズのように、生きたまま有益な細菌(乳酸菌やビフィズス菌など)を腸内へ届けることで、腸内環境を改善し、その結果として(ヒトを含む動物の)健康に貢献するという考え方です。健康”腸”寿などと言われるぐらい、「腸内環境がヒトの健康にとっては大事である」ということが常識となりつつあります。 似た言葉に「プレバイオティクス」や「バイオジェニックス」があります。「プレバイオティクス」は食物繊維やオリゴ糖など、腸内フローラを構成する細菌の食べものになる成分のことです。「バイオジェニックス」は身体に直接働きかける物質のことで、乳酸菌が作り出す物質などが挙げられます。これらの物質を、例えばサプリメントとして摂取すれば健康に貢献できますし、プロバイオティクスとして生きたまま摂取した乳酸菌が腸内で有益な物質を作り出せば、健康に寄与します。 これらの言葉は密接に関わりあっており、切っても切り離せないものなのです。

研究に欠かせない、細菌の入手・分類・精製の実務とは

ここからは、プロバイオティクス研究の実務についてご紹介していきます。 研究室で新たに有益な細菌を見つけ出す際にまず考えるのが、「どこから細菌を採取するのか」です。発酵食品や動物や魚の腸内から採取することもあれば、海底の泥や噴火口などから採取を行っているハードな研究(室)もあります。仮に「魚の腸内」から採取する研究室の場合、魚をさばく技術を先輩に伝授してもらうという、ユニークな研究風景も見ることができます。 続いて、細菌の分離・精製に用いる方法を紹介したいと思います。 昨今のプロバイオティクス研究室にはクリーンベンチと呼ばれる無菌装置が配備され、その中で作業を行うため、下記の方法は必ずしも必要とはなりません。しかし、研究実務の注意点を理解する上ではとても有用な知識です。 細菌の分離・精製で欠かせないのが、他の細菌と”混ざらない”ことです。基本的にはシャーレに培地を作って、画線分離することが主流ですが、その際に「アルコール消毒」と「火」を用います。「アルコール消毒」は細菌を死滅させるのに用います。作業前に自身の手に噴霧して、殺菌してから作業に取り掛かります。「火」も他の細菌と混ざらない為に必要です。ガスバーナー(もしくはロウソク)を焚くと空気の流れが「下から上」になります。そのため、火の下で作業を行うと上から降ってくる細菌の混入を防ぐことが出来ます。このようにすれば、基本的にどこでも細菌の分離・精製を行うことが可能です。

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