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「けしからん発想」から創造性を生みだす登大遊さん

 IT業界に身を置く人なら、情報処理推進機構(IPA)から「スーパークリエータ/天才プログラマー認定」を受けた「登大遊」さんの名前を聞いたことがあるかもしれません。高いセキュリティレベルと、高速なスループットを兼ね備えたVPNソフト「SoftEther」を開発し、2000年代前半からその名を轟かせてきた登さんはIPAに所属するかたわら、筑波大学の准教授や、自らが学生時代に起業したソフトイーサ社の代表を務め、NTT東日本にも非常勤社員(特殊局 特殊局員)として入社。NTT東日本とIPAの共同施策として、シンクライアントVPN「シン・テレワークシステム」の開発に携わってきました。

 シン・テレワークシステムは、ユーザーが自宅にあるPCに専用アプリをインストールすると、オフィスなどにあるPCを遠隔操作できる仕組み。無料で利用できるだけでなく、セキュリティ性能が高い点と、煩雑な利用手続きが不要な点が、コロナ禍において急な在宅勤務を強いられたビジネスパーソンから支持されているそうです。

そんなシン・テレワークシステムを生み出すことができた“真の理由”は、技術やハードウェア面の工夫ではなく、学生生活や社会人生活を通じて創造性を培っていたことだそうです。創造性を伸ばすことができた背景には、所属する組織に、彼の振る舞いを「けしからん」と叱りながらも自由な取り組みとして黙認してくれる土壌があったからだとしています。

登さんは、様々なトラブルを経験しながらも、めげることなく「もっと面白いことがやりたい」と発奮。筑波大学の研究室で飼っているハムスターの様子をネットで中継するなど、さまざまな研究を行いました。独自の研究を行う中で、ネットワークの混雑などの問題をたびたび引き起こしましたが、大学側は「また変な通信実験をしているのだろう。仕方ない……」と黙認してくれたそうです。

 登さんは学内での実験では満足できず、つくば、水戸、銀座、渋谷、丸の内、大手町、池袋のNTTビルに自前のネットワーク設備をコロケーションし、独自の実験用IP網を構築しました。自前の広域網ということもあり、実験を自由に行えることから、街中でも数々の“遊び”を実施。実験のコストは、学内スタートアップとして起業したSoftEtherから得る利益でまかなったそうです。このときに構築した超低遅延のネットワークがその後改良され、シン・テレワークを支えるバックボーンになったんだそうです。

登さんがこうした「けしからん」実験と並行して改良を重ねた結果、最新版の「SoftEther VPN」は現在、全世界の480万ユーザーのサーバで動作し、数百万人が利用する著名サービスへと育っています。

登さんの学生時代は、遊び感覚で面白いプログラムを書くことや独創的な実験を行うことを許してくれる環境がありました。そこからは可能性に富んだ人材がたくさん登場し、大企業などに入社。それでも、多くの若い技術者は、組織の論理のもとで“大人”にならざるを得ず、独創性や創造性を失ってしまっていると登さんはいいます。こうしたケースを防ぐためにも、独創的な実験やプログラミング、ネットワーク利用を黙認する寛容さが組織に求められると訴えています。

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